情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに関する基本的な知識があることを証明する国家資格です。近年、企業が標的となるサイバー攻撃への対策として、情報セキュリティ対策の重要性が増しています。そのような背景から、企業のセキュリティ担当者だけでなく、ITエンジニア以外の人にとっても取得するメリットのある資格です。
本記事では、情報セキュリティマネジメント試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて詳しく紹介します。
情報セキュリティマネジメント試験とは
情報セキュリティマネジメント試験は、経済産業省が認定する情報処理技術者試験のひとつです。試験では、情報セキュリティマネジメントの計画、運用、評価、改善の基礎知識が問われます。
情報セキュリティマネジメント試験の改定
情報セキュリティマネジメント試験は、2023年4月以降から試験制度が改定されることが発表されています。主な変更点は以下の通りです。
- ・年2回の試験から通年試験へ変更
- ・試験名を「午前試験/午後試験」から「科目A試験/科目B試験」へ変更
※科目A試験と科目B試験は1つの試験時間内にまとめて実施
※科目A試験と科目B試験の総合得点が基準以上の場合に合格 - ・受験料の変更
- ・試験時間の短縮
- ・採点方式を要素方式からIRT方式(解答結果に基づいて配点を算出する仕組み)に変更
参考:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について
情報セキュリティマネジメント試験の出題形式
試験の改定により、出題形式も変更されます。情報セキュリティマネジメント試験の出題形式は、以下の通りです。
変更前 | 変更後 | ||
---|---|---|---|
科目A試験
(旧午前試験) |
試験時間:90分
出題数 :50問 解答数 :50問 |
科目A・B試験 |
試験時間:120分
出題数:60問 解答数:60問 ※2科目をまとめて実施 |
科目B試験
(旧午後試験) |
試験時間:90分
出題数 :3問 解答数 :3問 |
試験時間が180分から120分へと短くなります。1問解答するのにかけられる時間が少なくなるため、短い時間での判断が求められます。点数は科目A・Bの合計で判断され、1000点満点で基準点の600点以上の点数を獲得することで合格となります。
情報セキュリティマネジメント試験の出題範囲
情報セキュリティマネジメント試験は、基本情報技術者試験のように、論理演算やプログラミングなどの問題は出題されません。以下の重点分野と関連分野から出題されます。
重点分野
情報セキュリティ全般 | 機密性・完全性・可用性、脅威、脆弱性、サイバー攻撃手法、暗号、認証 など |
---|---|
情報セキュリティ管理 | 情報資産、リスク、ISMS、インシデント管理などの各種管理、CSIRT など |
情報セキュリティ対策 |
マルウェア対策、不正アクセス対策、情報漏えい対策、アクセス管理、
情報セキュリティ啓発 など |
情報セキュリティ関連法規 | サイバーセキュリティ基本法、個人情報保護法、不正アクセス禁止法 など |
関連分野
テクノロジ | ネットワーク、データベース、システム構成要素 |
---|---|
マネジメント | システム監査、サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント |
ストラテジ | 経営管理、システム戦略、システム企画 |
情報セキュリティマネジメント試験の合格率
2019年から2022年までの合格率は以下の通りです。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2019年春期 | 18,129 | 13,761 | 7,148 | 51.9% |
2019年秋期 | 18,540 | 14,335 | 6,754 | 47.0% |
2020年度秋期 | 9,694 | 9,121 | 6,071 | 66.6% |
2021年度春期 | 15,441 | 14,089 | 7,376 | 52.4% |
2021年度秋期 | 16,231 | 14,738 | 7,949 | 53.9% |
2022年度春期 | 14,253 | 13,131 | 8,033 | 61.2% |
参考:情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料
合格率は例年50%前後を推移しています。IPAの区分では、基本情報技術者試験と同じ、スキルレベル2に該当することからも、情報処理技術者試験の中でも比較的優しい部類です。2023年4月から試験内容の改定があるため、難易度が変化する可能性があります。
情報セキュリティマネジメント試験の勉強法
情報セキュリティマネジメント試験は、過去に出題されたことのある問題と似た問題が数多く出題されます。この傾向から、過去問演習を重点的に行う勉強法がおすすめです。過去問演習の方法を2つ紹介します。
テキスト学習
情報セキュリティマネジメント試験の過去問として定番の問題集が、技術評論社の「情報処理技術者試験」シリーズです。令和元年度秋期から平成30年度秋期までの試験問題に加えて、平成30年春期から平成28年春期までの過去問題+予想問題3回分をPDFでダウンロードできます。問題の解説だけでなく、不正解の選択肢も含めて、試験で問われる知識が網羅されています。
参考:「令和04年 情報セキュリティマネジメント パーフェクトラーニング過去問題集」
Web学習
テキストを購入すると、受験料も含めて高額な費用がかかってしまいます。そこで学習費用を抑えるために活用できるのがWeb上の学習サイトです。試験の公式サイトであるIPAのサイトで過去問題をダウンロードできます。また、情報セキュリティマネジメント試験ドットコムでは、無料で過去問をダウンロードできます。
参考:IPA 参考:情報セキュリティマネジメント試験ドットコム
情報セキュリティマネジメント試験を受験しよう
実際に情報セキュリティマネジメント試験を受験する際の手続きを確認しておきましょう。
申込方法
プロメトリック株式会社のWebサイトより、試験の申し込みを行います。試験申し込み時に、試験日時と試験会場を選択します。試験会場は全国47都道府県に用意されています。
受験料
受験料は7500円(税込)です。
試験日程
2023年4月月より随時実施されます。
まとめ
情報セキュリティマネジメント試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて紹介しました。難易度もそれほど高くなく、IT系エンジニアだけでなく、非IT系企業で働くひとにも挑戦しやすい試験です。2023年の改定によって随時受験可能となり、より受験しやすい資格になります。受験には、テキストやWebサイトを活用して、効率的な学習を進めましょう。