ITサービスマネージャ試験は、ITサービスの運用管理に関する知識や能力を証明する国家資格です。多くのITサービスが普及する中、システム導入後の不具合やトラブルに対応するITサービスマネージャの需要も高まっています。本記事では、ITサービスマネージャ試験の合格率と難易度、勉強法、受験料などについて詳しく紹介します。
ITサービスマネージャ試験とは
ITサービスマネージャ試験は経済産業省が認定する国家資格であり、合格することでITサービスを適切に保守・運用する能力を証明できます。情報処理技術者の高度レベルに区分されており、合格率は例年15%前後と難易度の高い試験です。
ITサービスマネージャは信頼性の高いITサービスを提供するために、システムの運用や保守のマネジメントを担当します。将来的にシステム運用に携わりたい方におすすめの資格です。
プロジェクトマネージャ試験との違い
試験時間や出題形式が同じであるため、プロジェクトマネージャ試験と混同されやすいですが、求められる知識や能力が異なります。プロジェクトマネージャはシステム開発全体のマネジメントが求められる一方で、ITサービスマネージャはシステム運用・保守に関するマネジメント 知識が求められます。どちらもマネジメント業務ですが、任される業務の範囲が異なるため、将来的にどの分野に進みたいかによって試験を選択しましょう。
ITサービスマネージャ試験の出題形式
出題形式は、以下の通りです。
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 50分 | 40分 | 90分 | 120分 |
出題形式 | 多肢選択式 | 多肢選択式 | 記述式 | 論述式 |
問題数 | 30問 | 25問 | 3問 | 2問 |
回答数 | 30問 | 25問 | 2問 | 1問 |
午前Ⅰ/午前Ⅱ、午後Ⅰ試験は100点満点で基準点の60点以上、午後Ⅱ試験はAランク(A~Dの4ランク中)で合格となります。
午前Ⅰ試験は、以下のいずれかを満たすことで、その後2年間受験が免除されます。
- ・応用情報技術者試験に合格する
- ・高度試験または支援士試験に合格する
- ・高度試験または支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る
ITサービスマネージャ試験の出題範囲
出題範囲は以下の通りです。
午前Ⅰ試験の出題範囲
- ・テクノロジ系
- ・マネジメント系
- ・ストラテジ系
※高度試験共通の問題が出題されます
午前Ⅱの出題範囲
- ・テクノロジ系(コンピュータ構成要素、システム構成要素、データベース、ネットワーク、セキュリティ)
- ・マネジメント系(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査)
- ・ストラテジ系(法務)
午後Ⅰ/午後Ⅱ試験の出題範囲
- ・サービスマネジメントに関する知識
- ・サービスマネジメントの計画・運用
- ・パフォーマンス評価・改善
- ・サービス運用・管理
- ・ファシリティマネジメントに関する知識
ITサービスマネージャ試験の合格率
2017年以降の合格率は以下の通りです。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2017年度 | 5,779 | 3,932 | 535 | 13.6% |
2018年度 | 5,605 | 3,715 | 530 | 14.3% |
2019年度 | 5,120 | 3,388 | 497 | 14.7% |
2021年度 | 3,060 | 2,018 | 303 | 15.0% |
2022年度 | 2,851 | 1,954 | 289 | 14.8% |
※2020年度の試験は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になりました。
参考:情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料
合格率は15%前後を推移しており、難易度の高い試験であることがわかります。
ITサービスマネージャ試験の勉強法
ITサービスマネージャ試験は他の情報処理試験と同様に、テキストを使って基本的な知識をインプットしながら、過去問や問題集を繰り返し行うのがおすすめです。午前と午後で出題形式が異なるため、それぞれの勉強法とテキストを紹介します。
午前試験
午前Ⅰ試験では基本情報技術者試験レベルの基礎的な知識を問う問題が多く出題されます。過去に出題された問題と同じ問題が出ることも多いため、過去問演習を重点的に行いましょう。
午前試験対策におすすめの問題集は、アイテックIT人材教育研究部の「ITサービスマネージャ 総仕上げ問題集」です。直近3回の過去問題が掲載されており、正答だけでなく間違った選択肢についてもわかりやすく解説されています。
また、それ以前の過去問については、IPAのサイトにて無料でダウンロードできます。過去問から出題傾向を把握し、短い時間で回答する力を身につけましょう。
参考:「ITサービスマネージャ 総仕上げ問題集」
参考:IPA
午後試験
午後Ⅰ試験では長文を読み、簡潔に答えをまとめる力が必要となるため、短時間で答えを導き出せるように過去問演習を繰り返し行いましょう。午後Ⅱ試験の論述は、過去の事例から自分なりのパターンを準備しておくと安心です。
午後試験の対策におすすめの参考書は、「ITサービスマネージャ 合格論文の書き方・事例集」です。論文事例が35本掲載されており、合格できる論文の書き方が学べます。
参考:「ITサービスマネージャ 合格論文の書き方・事例集 第6版」
ITサービスマネージャ試験を受験しよう
実際にITサービスマネージャ試験を受験する際の手続きを確認しておきましょう。
申込方法
IPAのホームページより試験の申し込みを行います。
※午前Ⅰ試験免除を希望する場合は、受験申し込み時に申請が必要です。
受験料
受験料は7500円(税込)です。
試験日程
試験は年に1回実施されており、例年4月の第3日曜日が試験日となっています。
まとめ
ITサービスマネージャ試験は、ITサービスを適切に保守・運用する技術を証明する国家資格です。論述形式での問題もあり、合格率は例年15%前後と難易度の高い試験です。将来的にシステム開発や運用に携わりたい方におすすめの資格です。