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エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、IoTや組込みシステムの設計や構築に関する能力を証明する国家資格です。試験で問われる内容が幅広く、難易度も高いため、合格するためには効率的な学習が必要です。

本記事では、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度と合格率、受験料、勉強法について詳しく紹介します。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは

そもそもエンベデッドシステム(embedded system)は日本語で、組込みシステムと訳されます。組込みシステムとは、スマートフォンや家電、自動車、航空機などさまざまな機器や製品に組み込まれるコンピューターシステムのことです。近年、多くの場所で活用が進んでいるIoTも組込みシステムの技術を使っています。

総務省の調査によると、IoTデバイスの利用は年々増加していることがわかります。今後さらにIoT分野が発展していくことで、組込みエンジニアの需要も高まっていくと予想されます。組込み系システムの開発を行うメーカーへの就職を目指す方だけでなく、IoT技術に携わりたい方にもおすすめの資格です。

参考:エンベデッドシステムスペシャリスト試験

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の出題形式

出題形式は、以下の通りです。

午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 50分 40分 90分 120分
出題形式 多肢選択式 多肢選択式 記述式 論述式
問題数 30問 25問 2問 3問
回答数 30問 25問 1問 1問

午前Ⅰ/午前Ⅱ、午後Ⅰ試験は100点満点で60点以上、午後Ⅱ試験はAランク(判定はA~D)で合格となります。

午前Ⅰ試験は、以下のいずれかを満たすことで、その後2年間受験が免除されます。

  • ・応用情報技術者試験に合格する
  • ・高度試験または支援士試験に合格する
  • ・高度試験または支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の出題範囲

出題範囲は以下の通りです。

午前Ⅰ試験の出題範囲

  • ・テクノロジ系
  • ・マネジメント系
  • ・ストラテジ系
※高度試験共通の問題

午前Ⅱの出題範囲

テクノロジ系とストラテジ系から以下の内容が出題されます。

テクノロジ系からの出題

  • ・コンピュータシステム(コンピュータ構成要素、システム構成要素、ソフトウェア、ハードウェア)
  • ・技術要素(ネットワーク、セキュリティ)
  • ・開発技術(システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術)

ストラテジ系からの出題

  • ・システム戦略(システム企画)
  • ・経営戦略(経営戦略マネジメント、技術戦略マネジメント、ビジネスインダストリ)

午後Ⅰ/午後Ⅱ試験の出題範囲

  • ・組込みシステム・IoTを利用したシステムに関する知識(戦略、企画、開発、サポート)
  • ・機能要件の分析・機能仕様の決定に関する知識
  • ・開発手法の決定・汎用モジュールの利用に関する知識
  • ・組込みシステムのシステムアーキテクチャ設計・要求仕様の策定に関する知識
  • ・組込みシステムのソフトウェア/ハードウェア設計・実装・保守に関する知識

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格率

2018年以降の合格率は以下の通りです。

年度 応募者数 受験者数 合格者数 合格率
2018年度 4,646 3,461 616 17.8%
2019年度 4,858 3,653 585 16.0%
2020年度 2,504 1,962 321 16.4%
2021年度 2,798 2,185 400 18.3%
2022年度 3,136 2,415 476 19.7%

参考:情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料

年度によって差はありますが、直近5年の合格率は16〜19%前後を推移しています。合格率が低いことから難易度の高い試験であるといえます。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の勉強法

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は主題範囲が幅広く、難易度も高いため、計画的に勉強を進めることが大切です。午前と午後で出題形式が異なるため、それぞれの勉強法とおすすめの参考書を紹介します。

午前試験

午前試験は、多肢選択式でIT技術や関連技術に関する問題が出題されます。過去に出題された問題と同じ問題が出題される傾向が高いため、過去問演習を繰り返し行いましょう。

午前試験対策におすすめの問題集は、「エンベデッドシステムスペシャリスト 総仕上げ問題集」です。詳細な解説が収録されており、正答だけでなく間違った選択肢の理由についても理解を深められるため、応用力が身に付きます。

参考:「2023 エンベデッドシステムスペシャリスト 総仕上げ問題集」

参考:IPA

午後試験

午後Ⅰ試験を突破する要となるのが、計算問題です。エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、他の高度技術者試験と比較して計算問題が多く部分点も取りにくいため、重点的に対策しましょう。

また、午後Ⅱ試験では他の高度技術者試験と同様に、論述式で答える問題が出題されます。問題と設問の文字数が多いため、時間配分が大切です。問題演習を繰り返し行い、問われている内容を的確に理解して時間内に回答をまとめる練習をしておきましょう。

午後試験の対策におすすめの参考書は、「エンベデッドシステムスペシャリスト 専門知識+午後問題 の重点対策」です。問題の解き方がトピックごとに解説されており、理解を深めながら論述対策ができます。

参考:「エンベデッドシステムスペシャリスト 「専門知識+午後問題」の重点対策 第5版」

エンベデッドシステムスペシャリスト試験を受験しよう

実際にエンベデッドシステムスペシャリスト試験を受験する際の手続きを確認しておきましょう。

申込方法

IPAのホームページより試験の申し込みを行います。

※午前Ⅰ試験免除を希望する場合は、受験申し込み時に申請が必要です。

受験料

受験料は7,500円(税込)です。

試験日程

試験は年に1回秋に実施されており、例年10月の第2日曜日が試験日となっています。

まとめ

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、IoTエンジニアや組込みシステムエンジニアに必要な能力を証明する国家資格です。組込み系システムの開発を行うメーカーへの就職を目指す方だけでなく、IoT技術に携わりたい方にもおすすめの資格です。試験で問われる内容が幅広く、難易度も高いため、合格するためには計画的に学習を進めることが大切です。