基本情報技術者試験は、ITエンジニアとして理解しておくべき基礎的な知識を証明する国家資格です。数ある情報処理技術者試験の中でエントリレベルにあたり、ITエンジニアとして働いている方だけでなく、IT業界で働きたいと考えている方におすすめの資格です。
本記事では、基本情報技術者試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて詳しく紹介します。2023年の制度改定による変更点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験は経済産業省が認定する国家資格であり、ITエンジニアの登竜門とも言える資格です。コンピュータやシステムの基本的な仕組みから、ネットワーク、データベース、セキュリティなど幅広い知識が問われるため、合格率が低く、難易度も高いのが特徴です。基本情報技術者試験を受験することにより、ITエンジニアとしての基本的な知識を体系的に学ぶことが可能です。
基本情報技術者試験の改定
基本情報技術者試験は、2023年4月以降から試験制度が改定されることが発表されています。主な変更点は以下の通りです。
- ・年2回の試験から通年試験へ変更
- ・試験名を「午前試験/午後試験」から「科目A試験/科目B試験」へ変更
- ・午後試験の試験範囲を変更(「アルゴリズムとプログラミング」「情報セキュリティ」の2つの分野中心)
- ・選択分野を廃止
- ・プログラミング言語問題を廃止(疑似言語による出題)
- ・試験時間、試験問題数を削減
- ・採点方式を要素方式からIRT方式(解答結果に基づいて配点を算出する仕組み)に変更
- ・受験料の変更
参考:情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について
基本情報技術者試験の出題形式
試験の改定により出題形式も変更されます。基本情報技術者試験の出題形式は、以下の通りです。
変更前 | 変更後 | |
---|---|---|
科目A試験 (旧午前試験) |
試験時間:150分 出題数 :80問 解答数 :80問 |
試験時間:90分 出題数 :60問 解答数 :60問 |
科目B試験 (旧午後試験) |
試験時間:150分 出題数 :11問 解答数 :5問 ※選択問題あり |
試験時間:100分 問題数 :20問 解答数 :20問 ※選択問題なし(全問必須) |
科目A試験(旧午前試験は)60問となり、試験時間も短くなります。そのため、1問解答するのにかけられる時間が少なくなるため、短い時間での判断が求められます。
また、科目B試験(旧午後試験)は、選択問題がなくなり、20問全問解答となります。科目A試験と科目B試験は、それぞれ1000点満点で、基準点の600点以上の点数を獲得することで合格となります。
基本情報技術者試験の出題範囲
基本情報技術者試験の出題範囲は以下の通りです。
科目A試験の出題範囲
- ・テクノロジ系
- ・マネジメント系
- ・ストラテジ系
科目B試験の出題範囲
- ・プログラミング全般に関すること
- ・プログラムの処理の基本要素に関すること
- ・データ構造及びアルゴリズムに関すること
- ・プログラミングの諸分野への適用に関すること
- ・情報セキュリティの確保に関すること
基本情報技術者試験の合格率
2019年から2022年までの合格率は以下の通りです。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2019年春期 | 77,470 | 54,686 | 12,155 | 22.2% |
2019年秋期 | 91,399 | 66,870 | 19,069 | 28.5% |
2020年度秋期 | 60,411 | 52,993 | 25,499 | 48.1% |
2021年度春期 | 37,048 | 32,549 | 13,544 | 41.6% |
2021年度秋期 | 60,529 | 52,879 | 21,190 | 40.1% |
2022年度春期 | 53,796 | 46,072 | 18,235 | 39.6% |
参考:情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料
基本情報技術者試験の合格率は2019年まで20%台でした。しかし、2020年度秋期にCBT試験に移行してからは、合格率が上昇しています。2023年4月から試験内容の改定があるため、難易度が変化する可能性があります。
基本情報技術者試験の勉強法
基本情報技術者試験は試験範囲が広いため計画的な学習が必要ですが、過去に出題されたことのある問題と似た問題が数多く出題されます。この傾向から、過去問演習を重点的に行う勉強法がおすすめです。過去問演習の方法を2つ紹介します。
テキスト学習
基本情報技術者試験の過去問として定番の問題集が、技術評論社の「情報処理技術者試験」シリーズです。最新の過去問4年分の収録に加え7年分の過去問もダウンロードでき、豊富な演習を行えるのが大きな魅力です。丁寧な解説つきで、問題に対する理解が深まる一冊です。
参考:「令和04年【上期】基本情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集」
Web学習
テキストを購入すると、受験料も含めて高額な費用がかかってしまいます。そこで学習費用を抑えるために活用できるのがWeb上の学習サイトです。
基本情報技術者試験の公式サイトであるIPAのサイトでは、過去問題をダウンロードできます。また、基本情報技術者試験ドットコムでは無料で過去問を学習できます。「解説のない問題は出題しない」などの設定も可能なため、効率よく学習を進められます。
参考:IPA
基本情報技術者試験を受験しよう
実際に基本情報義出者試験を受験する際の手続きを確認しておきましょう。
申込方法
プロメトリック株式会社のWebサイトより、試験の申し込みを行います。試験申し込み時に、試験日時と試験会場を選択します。試験会場は、全国47都道府県に用意されています。
受験料
受験料は7500円(税込)です。
試験日程
2023年4月より随時実施されます。
まとめ
ITエンジニアとしての基礎的な知識を証明する国家資格として人気の基本情報技術者試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて紹介しました。2023年の改定によって随時受験可能となり、より受験しやすい資格になります。
幅広い知識を問われる試験のため、難易度も低くはありません。受験合格のためにテキストやWebサイトを活用して、効率的な学習を進めましょう。