ITストラテジスト試験はITを活用した経営戦略のスキルを証明する国家資格です。企業においてITの活用が進んでおり、ITストラテジストがコンサルタントとして活躍するシーンも増えています。IT業界への就職・転職だけでなく、フリーのITコンサルタントを目指す方にもおすすめの資格です。
本記事では、ITストラテジスト試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて詳しく紹介します。2024年の試験改定による変更点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ITストラテジスト試験とは
ITストラテジスト試験は経済産業省が認定する国家資格です。ITを活用して経営戦略を実現できる人材を目指すための資格であり、高度な専門知識やプロジェクトマネジメント、経営のスキルが問われます。ITストラテジスト試験は情報処理技術者試験の「高度試験」に区分されており、例年、合格率は15%前後と難易度が高い試験です。
参考:ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験の改定
ITストラテジスト試験は、2024年度春期試験から試験内容が一部変更されます。主な変更点は以下の通りです。
- ・午前Ⅰ試験の出題数の変更(4問→3問)
- ・午後Ⅱ試験の出題数の変更(3問→2問)
- ・組込みシステム・IoTを利用したシステムの出題が除外
参考:情報処理安全確保支援士試験及び情報処理技術者試験(高度試験の組込み分野)における出題構成等の変更について
ITストラテジスト試験の出題形式
ITストラテジスト試験の出題形式は、以下の通りです。
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 50分 | 40分 | 90分 | 120分 |
出題形式 | 多肢選択式 | 多肢選択式 | 記述式 | 論述式 |
問題数 | 30問 | 25問 | 4問 | 3問 |
回答数 | 30問 | 25問 | 2問 | 1問 |
午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ試験は100点満点で基準点の60点以上、午後Ⅱの試験はAランク(A~Dの4ランク中)で合格となります。
午前Ⅰ試験は、以下のいずれかを満たすことで、その後2年間受験が免除されます。
- ・応用情報技術者試験に合格する
- ・高度試験または支援士試験に合格する
- ・高度試験または支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る
ITストラテジスト試験の出題範囲
ITストラテジスト試験の出題範囲は以下の通りです。
午前Ⅰ試験の出題範囲
- ・テクノロジ系
- ・マネジメント系
- ・ストラテジ系
※高度試験共通の問題が出題されます
午前Ⅱの出題範囲
- ・テクノロジ系(セキュリティ)
- ・ストラテジ系(システム戦略、経営戦略、企業と法務)
午後Ⅰ/午後Ⅱ試験の出題範囲
- ・ITを活用した戦略の策定
- ・システム戦略・システム化計画の策定
- ・個別システム化計画の策定
- ・情報システム戦略の実行管理と評価
午後Ⅰでは、経営問題と対策や、DX、AIに関連した事例問題などが出題されます。午後Ⅱ試験では、企画力や提案力が試される問題が出題されます。
ITストラテジスト試験の合格率
2017年から2022年の合格率は以下の通りです。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2017年度 | 6984 | 4747 | 700 | 14.7% |
2018年度 | 7499 | 4975 | 711 | 14.3% |
2019年度 | 7527 | 4938 | 758 | 15.4% |
2021年度 | 5669 | 3783 | 579 | 15.3% |
2022年度 | 6378 | 4450 | 660 | 14.8% |
※令和2年度春期試験は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になりました。
参考:情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料
合格率が15%前後を推移していることからも、難易度の高い試験であることがわかります。
ITストラテジスト試験の勉強法
ITストラテジスト試験は過去に出題されたことのある問題と似た問題が多く出題される傾向があるため、過去問演習を重点的に行いましょう。午前試験と午後試験で出題形式が異なるため、それぞれに合った勉強法が必要です。ITストラテジスト試験の学習に役立つテキストを紹介します。
午前試験
午前試験の定番の問題集が、翔泳社の「情報処理教科書」シリーズです。出題される可能性の高い問題が厳選されているため、効率よく過去問演習ができます。特典としてWebアプリが付いており、500問を何度も解くことができます。また、IPAのサイトでも無料で過去問題をダウンロードできます。
参考:IPA 過去問題
午後試験
午後試験は記述式と論述式での回答となります。論理的な文章を作成することはもちろんのこと、経営者の立場を意識した論述が必要となるため、午後試験に特化した参考書を選びましょう。
午後試験対策におすすめの参考書は「情報処理教科書 ITストラテジスト」です。書籍掲載とWebダウンロードと合わせて、午後Ⅰ38問、午後Ⅱ 28問が掲載されています。業務経験が少ない人でも午後試験に合格できるテクニックも具体的に解説されています。
参考:「情報処理教科書 ITストラテジスト 2022~2023年版」
ITストラテジスト試験を受験しよう
実際にITストラテジスト試験を受験する際の手続きを確認しておきましょう。
申込方法
IPAのホームページより試験の申し込みを行います。試験申し込み時に試験地を選択します。試験は全国の主要62都市で開催されています。
※午前Ⅰ試験免除を希望する場合は、受験申し込み時に申請が必要です。
受験料
受験料は7500円(税込)です。
試験日程
例年4月の第3日曜日に実施されています。
まとめ
ITストラテジスト試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて紹介しました。ITストラテジスト試験は、ITを活用した経営戦略のスキルを証明する国家資格です。例年の合格率が15%前後と難易度の高い試験ですが、しっかりと対策すれば独学でも合格できます。IT業界への就職・転職だけでなく、フリーのITコンサルタントを目指す方にもおすすめの資格です。