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ITILの学習をしていると、必ず登場するのが「サービスデスク」という言葉です。しかし「サービスデスク」と「ヘルプデスク」の違いがよくわからず混乱する方も少なくありません。

本記事では、ITILにおけるサービスデスクの定義や役割、ヘルプデスクとの違いを説明します。試験で問われやすい関連キーワードも整理しますので、ITIL試験対策中の方はもちろん、実務でサービス運用を学んでいる方もぜひ参考にしてください。

ITILにおけるサービスデスクの定義と役割

ITILではサービスデスクをユーザーとITサービスをつなぐ「単一窓口(SPOC)」と位置付けています。利用者がシステムに関する困りごとや依頼がある場合、まずサービスデスクへ連絡することで対応が開始できる仕組みです。サービスデスクの主な役割は以下のとおりです。

サービスデスク

1.インシデントの受付と一次対応

システム障害や不具合などのトラブル(インシデント)を受け付け、可能な範囲で迅速に対応・解決します。

2.サービス要求の受付・対応

パスワードリセットやアカウント作成など、日常的な依頼(サービス要求)を受け付け、対応します。

3.エスカレーションの実施

サービスデスクで対応できない問題は、適切な担当部署や上位サポートへ速やかに引き継ぎます。

4.ナレッジマネジメントの活用

過去の対応履歴や解決方法を蓄積し、同様の問い合わせ時に迅速かつ正確に対応できるよう活用します。

5.ユーザーとのコミュニケーション管理

問い合わせの進捗状況や結果を利用者へ報告し、安心感と信頼を提供します。

ITIL試験でも問われやすいヘルプデスクとの違い

ITILの試験では「サービスデスクとヘルプデスクの違い」が頻出テーマです。混同しがちですが、それぞれの役割と範囲に明確な違いがあります。

サービスデスク ヘルプデスク
目的 ITサービス全体の窓口 技術的な問題の解決
範囲 インシデント管理、サービス要求対応、ナレッジ活用など幅広い トラブル対応中心
ITILでの位置付け SPOC(単一窓口)として定義 ITIL用語ではない

サービスデスクは技術的対応だけでなく、依頼対応、進捗管理、ナレッジ活用などを含む「ITサービス全体の窓口」として機能します。

一方、ヘルプデスクはユーザーの技術的な問題解決に特化した窓口であり、ソフトウェアの不具合や操作方法の問い合わせ対応が中心です。

試験対策として押さえておきたいサービスデスクのキーワード

ITIL試験ではサービスデスクの機能だけでなく、関連用語の意味と役割の理解が求められます。以下は頻出かつ実務でも重要なキーワードです。

SPOC

SPOCは「Single Point of Contact」の略で、問い合わせ窓口を一元化し、利用者からのトラブルや依頼をサービスデスクが一手に受け付ける仕組みを指します。これにより問い合わせ先の混乱を防ぎ、対応漏れを防止できます。

インシデント管理

ITサービスで発生した障害や不具合(インシデント)をできるだけ早く復旧させるためのプロセスです。サービスデスクはインシデントの受付、記録、一次対応を行い、迅速な復旧を目指します。

サービス要求管理

パスワードリセットやアカウント作成など、利用者からの日常的で定型的な依頼(サービス要求)を受け付け、対応するプロセスです。インシデント管理は「障害復旧」、サービス要求管理は「日常的な依頼対応」という違いがあります。

エスカレーション

エスカレーションは、サービスデスクで対応できない問題を適切な担当部署や上位者へ引き継ぐことを指します。ITILでは以下の2種類に分類されます。

  • ・機能的エスカレーション:技術的対応や権限が必要な場合に専門部署へ引き継ぐ
  • ・階層的エスカレーション:重大な問題や遅延時に上位責任者へ報告・引き継ぐ

ナレッジマネジメント

対応時に得た知識や解決方法を組織で記録・共有し、再利用する仕組みです。これにより、同様の問題発生時に迅速で正確な対応が可能となり、対応品質の向上にもつながります。

まとめ

ITILにおけるサービスデスクは、単一窓口(SPOC)としてインシデント対応やサービス要求対応など幅広い役割を担い、安定したITサービスの提供を支えています。単なる技術サポートにとどまらず、依頼受付や情報管理、部門間の連携にも関わる重要な存在です。

サービスデスクの理解は、ITIL試験対策だけでなく、実務でのサービス運用の品質向上にもつながります。この機会に理解を深め、試験対策と実践に活かしてみてください。