システムアーキテクト試験は、システム開発の上流工程に関する知識や能力を証明する国家資格です。IT技術の活用が進む中、ITエンジニアの中でも上流工程を担うシステムアーキテクトの需要が高まっています。
本記事では、システムアーキテクト試験の合格率と難易度、勉強法、受験料などについて詳しく紹介します。
システムアーキテクト試験とは
システムアーキテクト試験は経済産業省が認定する国家資格です。試験ではシステム開発の企画、設計、運用・保守まで幅広い知識が問われます。システム開発の上流工程に携わりたい方や、エンジニアからのキャリアアップにおすすめの資格です。
また、システムアーキテクト試験に合格することで、中小企業診断士、技術士試験、ITコーディネーター試験などで科目免除が受けられます。システムアーキテクト試験と他スキルを合わせることで、システムアーキテクトとして独立したり、ITに強いコンサルタントに転職するなど将来のキャリアを広げることも可能です。
参考:システムアーキテクト試験システムアーキテクト試験の出題形式
出題形式は、以下の通りです。
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 50分 | 40分 | 90分 | 120分 |
出題形式 | 多肢選択式 | 多肢選択式 | 記述式 | 論述式 |
問題数 | 30問 | 25問 | 3問 | 2問 |
回答数 | 30問 | 25問 | 2問 | 1問 |
午前Ⅰ/午前Ⅱ、午後Ⅰ試験は100点満点で60点以上、午後Ⅱ試験はAランク(判定はA~D)で合格となります。
午前Ⅰ試験は、以下のいずれかを満たすことで、その後2年間受験が免除されます。
- ・応用情報技術者試験に合格する
- ・高度試験または支援士試験に合格する
- ・高度試験または支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る
システムアーキテクト試験の出題範囲
出題範囲は以下の通りです。
午前Ⅰ試験の出題範囲
- ・テクノロジ系
- ・マネジメント系
- ・ストラテジ系
午前Ⅱの出題範囲
- ・テクノロジ系(コンピュータ構成要素、システム構成要素、データベース、ネットワーク、セキュリティ、システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術)
- ・ストラテジ系(システム戦略、システム企画)
- ・システム開発の契約・合意に関する知識
- ・システム開発における企画・要件定義・開発・運用・保守に関する知識
- ・システム開発に関連する知識(構成、品質、監査、法規、情報技術の動向など)
※システムアーキテクト試験の午後Ⅱでは、マネジメント系分野からの出題はなく、システム開発に必要な知識を中心に出題されます。
午後Ⅰ/午後Ⅱ試験の出題範囲
システムアーキテクト試験の合格率
2018年以降の合格率は以下の通りです。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2018年度 | 9,105 | 5,832 | 736 | 12.6% |
2019年度 | 8,340 | 5,217 | 798 | 15.3% |
2021年度 | 5,447 | 3,433 | 567 | 16.5% |
2022年度 | 5,369 | 3,474 | 520 | 15.0% |
2023年度 | 5,684 | 3,679 | 581 | 15.8% |
※2020年度の試験は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になりました。
直近4年の合格率は15%前後を推移しており、難易度の高い試験であることがわかります。
参考:情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料
システムアーキテクト試験の勉強法
システムアーキテクト試験は難易度の高い試験ですが、効率的に勉強を進めることで、独学でも合格が目指せます。午前と午後で出題形式が異なるため、それぞれの勉強法とおすすめの参考書を紹介します。
午前試験
午前Ⅰ試験では応用情報技術者試験レベルの問題、午後Ⅱ試験ではシステム企画・開発、セキュリティ分野の問題が出題されます。過去に出題されたものと同じ問題が出ることも多いため、過去問題を繰り返し解くようにしましょう。
午前試験対策におすすめの問題集は、アイテックIT人材教育研究部の「システムアーキテクト 総仕上げ問題集」です。出題傾向の分析、過去問題の詳細な解説が掲載されているため、効率よく午前試験の勉強を進められます。午前試験は60点以上が合格ラインとなるため、苦手な問題を捨てて解ける問題で点数を伸ばしていくことが大切です。過去問を繰り返し解き、確実に解ける問題を増やしていきましょう。
参考:「システムアーキテクト 総仕上げ問題集」参考:IPA
午後試験
午後Ⅰ試験では、システム開発に関する事例を読み、問われている内容を簡潔に答える力が必要になります。過去問演習で回答パターンを身につけましょう。午後Ⅱ試験の論文問題では、実際のシステム企画から設計をシステムアーキテクト目線で具体的に論述することが求められます。実務経験がない方は題材を事前に用意しておくことが必要です。
午後試験の対策におすすめの参考書は、「システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集」です。実戦形式で合格レベルの論文をまとめるテクニックが身に付きます。
参考:「システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集 第6版」システムアーキテクト試験を受験しよう
実際にシステムアーキテクト試験を受験する際の手続きを確認しておきましょう。
申込方法
IPAのホームページより試験の申し込みを行います。
※午前Ⅰ試験免除を希望する場合は、受験申し込み時に申請が必要です。
受験料
受験料は7,500円(税込)です。
試験日程
試験は年に1回春に実施されており、例年4月の第3日曜日が試験日となっています。
まとめ
システムアーキテクト試験は、システム開発の上流工程を担当するエンジニアに必要な能力を証明できる資格です。合格率は例年15%前後と難易度の高い試験ですが、効率的に勉強を進めることで、独学でも合格することが可能です。システム開発の上流工程に携わりたい方や、エンジニアからのキャリアアップにおすすめの資格です。