応用情報技術者試験は、高度IT人材としての知識を証明する国家資格です。基本情報技術者試験合格後のスキルアップを目指す方や、高度情報技術者試験を受験する前の登竜門としておすすめの資格です。
今回は、応用情報技術者試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて詳しく紹介します。基本情報技術者試験との違いについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
応用情報技術者試験とは
応用情報技術者試験はIPAが実施する国家資のひとつです。高度IT人材を目指すための資格であり、基本情報技術者試験の上位に位置付けられています。技術的なことだけでなく、マネジメントや経営戦略についても問われるため、合格率が低く、難易度が高いのが特徴です。
基本情報技術者試験との違い
基本情報技術者試験との大きな違いは難易度です。IPAでは情報処理技術者試験を以下の4つのレベルに分類しています。
- レベル1:ITパスポート
- レベル2:基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験
- レベル3:応用情報技術者試験
- レベル4:高度情報技術者試験
上記からわかるように、基本情報技術者試験と比べて、求められるレベルが高くなっており、全体的な試験の難易度が高いと言えます。また、試験時間、出題形式にも違いがあります。
基本情報技術者試験 | 応用情報技術者試験 | |
---|---|---|
午前試験(科目A試験) | 試験時間:90分 出題数 :60問 解答数 :60問 |
試験時間:150分 出題数 :80問 解答数 :80問 |
午後試験(科目B試験) | 試験時間:100分 問題数 :20問 解答数 :20問 ※選択問題なし(全問必須) |
試験時間:150分 問題数 :11問 |
基本情報技術者試験と比較して、試験時間が長く、問題数も多くなります。午前試験(科目A試験)の出題範囲は基本情報技術者試験と同じですが、応用情報技術者試験の場合、より深い知識が必要となります。
午後試験(科目B試験)については、基本情報技術者試験が多肢選択式であるのに対し、応用情報技術者試験では記述式となります。応用技術者試験は問題文も長いため、読解力や問題に対する慣れも必要となります。
応用情報技術者試験の出題形式
応用情報技術者試験の出題形式は、以下の通りです。
午前試験 | 午後試験 | |
---|---|---|
試験時間 | 150分 | 150分 |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 |
出題数 | 80問 | 11問 |
回答数 | 80問 | 5問 |
午後試験では、長文形式の問題11問から5問を選択して回答します。午前試験と午後試験は、それぞれ100点満点で、基準点の60点以上の点数を獲得することで合格となります。
応用情報技術者試験の出題範囲
応用情報技術者試験の出題範囲は以下の通りです。
午前試験の出題範囲
- ・テクノロジ系
- ・マネジメント系
- ・ストラテジ系
午後試験の出題範囲
- ・経営戦略に関すること
- ・情報戦略に関すること
- ・戦略立案・コンサルティングの技法に関すること
- ・システムアーキテクチャに関すること
- ・サービスマネジメントに関すること
- ・プロジェクトマネジメントに関すること
- ・ネットワークに関すること
- ・データベースに関すること
- ・組み込みシステム開発に関すること
- ・情報システム開発に関すること
- ・プログラミングに関すること
- ・情報セキュリティに関すること
- ・システム監査に関すること
応用情報技術者試験の合格率
2019年から2022年までの合格率は以下の通りです。
年度 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2019年度春期 | 48,804 | 30,710 | 6,605 | 21.5% |
2019年度秋期 | 50,440 | 32,845 | 7,555 | 23.0% |
2020年度秋期 | 42,393 | 29,024 | 6,807 | 23.5% |
2021年度春期 | 41,415 | 26,185 | 6,287 | 24.0% |
2021年度秋期 | 48,270 | 33,513 | 7,719 | 23.0% |
2022年度春期 | 49,171 | 32,189 | 7,827 | 24.3% |
2022年度秋期 | 54,673 | 36,329 | 9,516 | 26.2% |
合格率が20%台を推移していることからも、難易度の高い試験であることがわかります。
参考:情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料
応用情報技術者試験の勉強法
応用技術者の午後問題は、午前問題の知識を前提とした思考力を問う問題が出題されます。そのため、午前問題の学習をした後に午後問題の対策に取り掛かるのがおすすめです。
また、応用情報技術者試験は試験範囲が広いため計画的な学習が必要ですが、過去に出題されたことのある問題と似た問題が数多く出題されます。参考書を一度読み、試験の全体像を把握した後は、過去問を繰り返し解きながら分からない部分をなくしていくといった勉強法がおすすめです。
以下で過去問演習の方法を2つ紹介します。
テキスト学習
応用情報技術者試験の過去問として定番の問題集が、技術評論社の「情報処理技術者試験」シリーズです。最新の過去問4年分の収録に加え、平成22年度春期~令和元年度秋期の問題・解説のダウンロード特典が付いており、豊富な演習を行えるのが大きな魅力です。丁寧な解説つきで、問題に対する理解が深まる一冊です。
参考:「令和04年【秋期】 応用情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集」
Web学習
テキストを購入すると、受験料も含めて高額な費用がかかってしまいます。そこで学習費用を抑えるために活用できるのがWeb上の学習サイトです。
応用情報技術者試験の公式サイトであるIPAのサイトで過去問題をダウンロードできます。また、応用情報技術者試験ドットコムでは無料で過去問を学習できます。間違えた問題だけを指定して繰り返し解くこともできるため、効率よく学習を進められます。
参考:IPA
応用情報技術者試験を受験しよう
実際に応用情報技術者試験を受験する際の手続きを確認しておきましょう。
申込方法
IPAのホームページより試験の申し込みを行います。試験申し込み時に試験地を選択します。試験は全国の主要62都市で開催されています。
受験料
受験料は7,500円(税込)です。
試験日程
試験は年2回開催されており、例年以下の日程で実施されています。
- ・春期試験:4月の第3日曜日
- ・秋期試験:10月の第3日曜日
まとめ
高度IT人材として理解すべき知識を証明する国家資格である応用情報技術者試験の難易度と合格率、受験料、勉強法などについて紹介しました。応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験合格後のスキルアップを目指す方、高度情報技術者試験を受験する前の登竜門としておすすめの資格です。