
IT技術の活用において、もはや外せなくなったのがクラウドサービスの活用です。ITエンジニアのキャリア構築においても、クラウドサービスに関するスキルは重要視されるポイントとなっています。
様々な企業により提供されるクラウドサービスですが、その中でも最も人気が高いのがAWSです。Amazonによって運営されるサービスで、PaaSやストレージ、データベースなど幅広いサービス種類を展開<しています。
このAWSに関する知識・スキルの保有を示すことができる資格として、AWS認定資格があります。Amazonによって認定されており、ITエンジニアやサービス管理者などにとってキャリア構築に役立つ資格です。
本記事ではAWS認定資格について、試験の種類、難易度、試験日、有効期限、合格率などの情報を記載しています。他のクラウド資格との違いや、おすすめの学習教材も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
AWSとは?
AWS(Amazon Web Services)はEC大手のAmazonの提供するクラウドサービスです。クラウドサービスの中でもSaaSからIaaSまで幅広くサービスを提供しており、サービスの種類は岐にわたります。
AWSのサービスは年々増加しており、2025年6月時点で公式に確認できるだけでも、300種類以上のサービスが存在しています。
クラウドファーストという考え方が浸透するほど、クラウド環境の利用は企業や組織向けのITシステム構築において、いまや第一の選択肢となっています。
ITエンジニアの場合には、AWSの利用および環境構築、設定のスキルが業務で必要となることがあります。ITエンジニア以外の職種でも、デジタル技術の利用が必要となる場合が増えており、サービス管理者などのポジションにおいては学んでおきたい技術スキルです。
高いシェアを占め、多くの企業で採用されている技術であり、実践的なスキルを示せるため転職時にも有用です。
他のクラウド資格との違いは?
クラウド資格には他にも、Microsoft Azure認定資格やGoogle Cloud認定資格といったベンダーの認定資格があり、特徴が異なります。
特徴 | おすすめの人 | |
---|---|---|
AWS認定資格 |
・世界的な標準スキルを証明できる ・多くの企業がAWSを導入しており、実務に直結する |
・これからクラウドスキルを習得したい人 ・幅広い業種を対象に働きたい人 |
Microsoft Azure 認定資格 |
・Windows Server、Active Directory、Microsoft365との連携スキルが証明できる ・日本企業での導入が多い |
・Microsoft製品を扱う現場にいる人 ・社内ITやエンタープライズ系のキャリアを目指す人 |
Google Cloud 認定資格 |
・BigQuery、Vertex AI、Dataflowなどの先進的なサービスに強い ・データ分析・AI/ML分野に強みがある |
・AI・機械学習・データ分析分野でキャリアを築きたい人 ・最先端のクラウド技術に関心がある人 |
このように、それぞれのクラウド資格には異なる強みと活用シーンがあるため、自分のキャリア目標や業務内容に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。
AWS認定資格について
AWS認定資格はクラウドサービスAWSの運営会社であるAmazon社によって運営される資格試験です。AWSによる認定を受けることで、AWSに関する技術スキルおよび専門知識を有することを示めせます。
ITエンジニアにとっては就職・転職時にスキルを示すことができる資格の一つです。特にインフラ系のエンジニアとっては、クラウドは今後の必須スキルであり、キャリアパス構築のためにも検討したい資格となります。
種類と難易度
AWS認定資格は3段階のレベルに分かれています。ファンデーションで6か月、アソシエイトで1年、プロフェッショナルで2年の実務経験が問われる難易度です。。2025年6月現在では下記の種類があります。
カテゴリ | 認定資格 |
---|---|
Foundational(ファンデーション) | Cloud Practitioner |
AI Practitioner | |
Associate(アソシエイト) | Sysops Administrator |
Developer | |
Solutions Architect | |
Data Engineer | |
Machine Learning Engineer | |
Professional(プロフェッショナル) | Solutions Architect |
DevOps Engineer |
参考:AWS認定
試験日
試験日については、試験を提供する企業と試験方法により変わってきます。
試験を提供しているのは、「ピアソン VUE」と「PSI」の2社です。また、試験方法はCBT方式(Computer Based Testing)で行われ、オンラインか試験センターでの受験となります。詳細は、試験を提供する2社のいずれかにご確認ください。
合格率
AWS認定試験の合格率は非公表です。ただし、事前に模試を受けることが可能です。模試で合格できる正答率を確保することで、合格の確率を高めて受験することができます。
有効期限
AWS認定は3年間有効です。定期的(3年経過ごと)に更新を行う必要があります。
AWS合格のために
AWSでは受験者に向けてトレーニングを提供しています。大きくデジタルトレーニングとクラスルームトレーニングの2種類があります。デジタルトレーニングでは試験科目によっては無料のコースから存在しハンズオンで学ぶことが可能です。試験ガイドやサンプル問題などの資料も提供されています。
AWSパートナーによるトレーニングもあるため、必要に応じて利用を検討してみてください。
おすすめの学習教材・サービス
AWS認定資格は、レベルに応じた出題範囲が広く、合格するためには計画的な学習が必要です。ここでは、AWSが公式に推奨している学習方法を2つ紹介します。
AWS Skill Builderを利用する
AWS公式が提供するオンライン学習プラットフォーム「AWS Skill Builder」では、各認定資格に対応したトレーニングコースを無料または有料で受講することができます。日本語対応のコンテンツも充実しており、入門者から上級者まで幅広いレベルに対応しています。
書籍や学習サイトから独習する
AWS認定試験は独学で合格することも十分可能です。そのための書籍やWebサイトが多数あります。日本国内で人気のあるテキストとしては、インプレス社の「AWS認定資格対策」シリーズがあります。学習サイトとしては、UdemyやPing-tなども人気です。例えば、Ping-tでは一部AWS試験向けの問題集が提供されており、繰り返し演習に活用できます。
参考:インプレス「徹底攻略 AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト教科書」
参考:Udemy
参考:Ping-t
AWS取得後のキャリアへの活かし方
AWS認定資格は、クラウドサービスに関する専門知識とスキルを体系的に証明できる資格です。取得することで、ITエンジニアとしてのキャリアの幅を大きく広げることができます。
実務理解を深め、業務の効率化に貢献できる
AWS認定資格を通じて、クラウドの設計・構築・運用に関する基本的な考え方や代表的なサービス群、アーキテクチャの知識を習得できます。特にインフラエンジニア、開発エンジニア、運用管理者といった職種では、日々の業務にAWSの知識を活かすことで、クラウド移行の提案、コスト削減、運用自動化など、より実践的で価値ある改善に取り組むことが可能になります。単に与えられた作業をこなすだけでなく、クラウドの特性を活かして能動的に問題解決や効率化を進められる「頼られるエンジニア」へと成長できるでしょう。
組織内での役割拡大とキャリアアップにつながる
クラウドを活用する企業が増加する中、AWS認定資格を持つ人材は、クラウド導入や活用の中核メンバーとして期待されることが多くなっています。プロジェクト推進やチーム内の技術的なリーダー役を任される機会が増え、マネジメントや上流工程へのステップアップにもつながります。また、AWS資格を昇進・昇格の評価対象とする企業も増えており、自身のスキルを客観的に証明できる点で、キャリア形成の強力な後押しとなるでしょう。
グローバルなキャリアにも有利
AWS認定資格は、世界的に認知されたグローバルスタンダードの資格です。外資系企業への転職や、国際的なITプロジェクトへの参加、海外拠点との連携業務など、グローバルに活躍するうえでも高い評価を得られます。世界共通の知識・用語でクラウド環境を理解していることは、異文化のチームとの協働においても大きな強みとなるでしょう。
まとめ
EC大手Amazonの提供するAWS(Amazon Web Services)は、2024年度シェアNo1のクラウドサービスでITシステムの構築などでは欠かせない技術となっています。
AWSに関する知識・スキルを示すための方法として、AWS認定資格の取得があります。基礎レベルから専門分野まで複数の試験が用意されており、自身のスキルやキャリアに応じて選ぶことができます。
AWS認定資格の受験の際には、AWSの提供するトレーニングやAWSパートナーによるトレーニングを利用して効率的に学習を行いましょう。